共同住宅220号特例通知の法制化

はじめに

現在、共同住宅等における消防用設備等は、消防法施行令及び施行規則で定められたものと消防予第220号通知(平成7年10月5日)又はそれに基づく各自治体毎の特例通知により設置されているが、今般220号通知が廃止され新たに総務省令第40号(平成17年3月25日公布)及び告示基準が定められ、平成19年4月1日より施行されることとなった。

共同住宅220号特例通知の法制化の図

新基準の目的と位置付け

新基準では当該基準を適用する共同住宅等を「特定共同住宅等」と呼称し、消防法施行令第29条の4に基づき、「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」として「通常用いられる消防用設備等」に代えて設置できる設備の基準を定めている。これは現在各地域の共同住宅特例通知として運用されているものを省令及び関係告示に定め、全国的に統一的な運用を図るとともに、検査、点検報告及び消防設備士の工事又は整備等に関する消防法令の関係規定を適用し、より適切な維持管理の確保を図るため、特例通知に沿って制定したとされている。従って、新基準は現行の220号通知同様に、その適用を選択するのは建築主側であることに変わりはない。

改正の主なポイント

1 2
2方向避難・開放型の建物で、地階を除く回数が 5階建て以下ですべての住戸等の共用部分に面する開口部が 4m 2以下の共同住宅 2方向避難型または開放型の建物で、地階を除く階数が 2階建て以下ですべての住戸等の共用部分に面する開口部が 4m 2以下の共同住宅
非常警報設備に加えて 住戸用自火報が必要

1.住戸内には、感知器が必ず必要となった。

220号特例通知では非常警報設備のみ設置で可とされ、住戸内に感知器が設置されない建築構造(次の2タイプの低層共同住宅)について、今回設置が義務となった。
これは、住宅用防災機器(住警器)の設置義務化(消防法第9条の2)に関連している。

2.その他、詳細な部分については異なる部分があります。次項以降をご覧ください。

※ 建築延べ面積が 500m2 未満で自動火災報知設備のつかない共同住宅および戸建住宅では住宅用火災警報器等が必要です。 (住警器の消防法改正)

改正早見表

特定共同住宅等の種類
5項ロもしくは令8区画された5項ロの部分に限る建築構造の要件を満たすもの
必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等 通常用いられる消防用設備等
(左記○印(白抜き)を一式設置することにより免除出来る設備)
構造類型 階数 住戸用消火器及び消火器具 住戸用自火報設備および共同住宅用非常警報設備 共同住宅用自動火災報知設備 共同住宅用スプリンクラ|設備
 11階以上の部分
消火器具 自動火災報知設備 屋外消火栓設備 動力消防ポンプ設備 屋内消火栓 スプリンクラ|設備 非常警報器具又は非常警報設備 避難器具 誘導灯及び誘導標識
二方向避難型 5階建て以下 ○注2        
6階~10階建て以下          
11階建て以上   ●注1  
開放型 5階建て以下 ○注2    
6階~10階建て以下      
11階建て以上   ○注3
二方向避難
開放型
10階建て以下 ○注2    
11階建て以上   ○注4
非二方向避
難非開放型
10階建て以下          
11階建て以上   ●注1  

改正早見表の見方

  1. 表中、○印(白抜き)を設置することで、●印(黒塗り潰し)設備が免除できます。
    (但し、「通常用いられる消防用設備等」において、空欄(無印部分)は消防法通り設置の有無を決定します)。
    また、都合のよい設備だけを選択することはできません。
  2. ●注1 … 共同住宅用スプリンクラー設備を設置した階のみ屋内消火栓設備が免除できます。
  3. ○注2 … どちらか一方の設備を選択できます。
  4. 上記表にある設備の他、共通項目として、「共同住宅用連結送水管、共同住宅用非常コンセント設備」があります。
    この2つの設備は、通常の設置基準に代えて、階段室型の場合、階数が3以内ごとに、歩行距離50m以下となるよう設置することができます。
  5. ※ 建築構造の要件とは・・・4つの構造類型について、主要構造が耐火構造、共用部分の壁及び天井の仕上げが準不燃材料、住戸等は開口部の無い耐火構造の床又は、壁で区画する、住戸等と共用部分を区画する壁の開口部の防火性能、非開放型の住戸等の開口部の制限(1の住戸につき4m 2以下(1の開口部は2m 2以下)共用室にあっては8m 2以下)、床又は壁を貫通する配管等の制限及び特定光庭、避難光庭がある場合は、それぞれの基準を満足したもの。但し、共同住宅用スプリンクラー設備を設置したものを除く。
  6. ○注3 … 11階~14階の部分においてのみ、内装制限かつ、共用室の開口部に防火戸が設けられている場合に免除ができる。この場合、15階以上の階には設置が必要です。
  7. ○注4 … 11階以上において、内装制限かつ、共用室の開口部に防火戸が設けられている場合に免除ができる。
    (延べ面積が、2,100m 2以上(耐火構造内装制限あり)の屋内消火栓設備設置義務となるケース等が「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」とすることが一般的には、コストメリットが出てくる場合があります。)